今回の記事は、小説「ファーストラヴ」(島本理生)について!
「ファーストラヴ」ってどんな小説?
ファーストラヴは、2018年の直木賞受賞作です。
言うまでもなく「直木賞」とは、
- 若手の作家による
- エンタメ系の作品
から選出される賞ですね。
エンタメ系といえど重い作品
エンタメ系といえど「ファーストラヴ」は、
- 儚い気持ちになる、
- 重苦しい作品です
- しかも強烈に重く!
読み終えた後は、どよ〜ん、と重く、苦しく、
- どれだけ息を吸っても吸っても
- ダークなウィルスが抜けなくて
- いつまでも息苦しさが絶えない
そんな感じのエンターテインメントです。
重いが故に興味が湧く
「人生が詰んだ時ってどんな感じ?」
と、マゾヒスティックな疑似体験をしてみたい人(?)におすすめ!
例えば「わざわざお金を払ってお化け屋敷に入ろう!」
そっち系の人にピッタリな作品です!
「ファーストラヴ」の登場人物
「ファーストラヴ」の登場人物はざっと十人。
活字作品としてはちょうどいいレベル感です。
読んでる最中に、
「洋一?」、て「え〜と、誰だったっけ??」
といった混乱とは無縁のキャスト数。
人数が引き締まっていて「何かややこしい・・」といったことが一切ありません。
主人公は三人
そして主人公は「3人」と言えるでしょう。
うち中心となるのが女子アナ志望の大学生。
残り2名のメインキャストとなるいるのが、
若手弁護士(男性)と、
臨床心理師(女性)です。
三人で物語を展開
さて、この3人が軸となって、どのようなテーマで、重く、苦しく、
息を吸っても吸ってもダークなウィルスが抜けない暗〜い気持ち
になる物語が展開していくのでしょうか?
「ファーストラヴ」のテーマ
「ファーストラヴ」のテーマは 「父親殺し」です。
「どーん!」とヘビーな鉄球が、いきなり「ガーン!!」と落ちてきます。
終始一貫、この重いテーマ一本!
「ファーストラヴ」のサブテーマ
とはいえ同時に、以下のサブテーマが重い鉄球に並走します。
- 複雑な家庭環境による「避けられなかった過ち」
- 事情を知るにつれ「手を差し伸べたくなる重罪」
臨床心理師が語り手
このような父親殺しのパラドックスを、臨床心理師が語り手となって展開します。
そして弁護士とともにそれぞれの専門分野を駆使。
殺人と情状酌量、虚言と真実など、人間心理の裏街道を走りまくります。
その過程で、重罪を犯した人格破綻の、結果と原因の方程式を組み立てていく物語です。
「ファーストラヴ」の結末
「ファーストラヴ」の結末は、
- ヨーロッパ映画的な悲劇の終わり方でもあり
- かつ、ハリウッド的な未来あるエンディング
とも言える、多重スタイルの結末です。
タイトルが持つ意味
そんなサラウンドな結末の呼び水となるのが、まさにタイトルの「ファーストラヴ」。
この作品に言う「ファーストラヴ」とは、訳すると「最初に受ける愛」
最初の愛とは、つまり「家族の愛」を表しているのでしょう。
「家族の愛」が放つものとは?
最終章にかかると、タイトル「最初の愛(ファーストラヴ)」が放つ、巨大な爆発現象に一気に飲み込まれます。
結末に向かうにつれ、まぶしい閃光に心の目が眩み、なのにメンタル的には真っ暗になる終わり方。
こんな風に、明暗を同時に感じさせる結末、なかなか他の作品では体験できません。
さて、ここからネタバレ度を少しだけ上げます!
「ファーストラヴ」を読んでみたくなるエッセンスをさらに抽出してみましょう!
公表されているあらすじを超えないレベルのネタバレでいきます!
「ファーストラヴ」のあらすじ
主人公の一人、民法キー局のアナウンサー志望で就活中の聖山環菜。
環奈は面接が終わった帰り道、報告がてら父親の勤務先を訪れます。
そして、父親を刺殺します。
なぜ環奈は父親の命を奪ったのか
「動機なんて分かりません。そちらで見つけてください。」
検察にそう吐き捨てた環菜。
当然、炎上マーケット狙いのマスコミは飛び付き、連日PV稼ぎの報道を連射します。
臨床心理師の真壁由紀
この事件のルポルタージュとしてノンフィクションの執筆を請け負ったのが、第2の主人公で臨床心理師の真壁由紀。
臨床心理師の由紀による、殺人心理の謎解きがこのストーリーの本流です。
由紀の語りによって、事件のヴェールが一つ一つ丁寧に、そしてロジカルに剥がされていく展開が「ファーストラヴ」の真骨頂です。
「ファーストラヴ」の舞台
そして、容疑者環奈の国選弁護人となったのが、若手弁護士の庵野迦葉。
弁護人はもちろん容疑者のサポーターです。
つまり環奈のサポーターが迦葉です。
若手弁護士の庵野迦葉
弁護士迦葉の視点や分析が加わることで、事件の謎解きがさらにキレイに整理されていきます。
ファーストラヴの舞台は、留置所で判決を待つ環奈、その環奈に接見を繰り返す弁護士の迦葉、同じく環奈に面会を繰り返す臨床心理師の由紀といった設定です。
環奈の人生に影響を与えてきた人物
そこに、母親や元彼など、環奈の人生に大きなポジションを持つ複数の人物が証言者として登場します。
そして、作者の島本理生さんがこの作品で最も伝えたかったであろう真打ちが、環奈の父親。
幼少期の環奈に、屈折した●●を●●していたことが、この事件のメインストリームとして、舞台の袖口から中央部に移動し始めてくるのです。
「ファーストラヴ」のメインテーマ
臨床心理師の由紀と、国選弁護人の迦葉が、この●●に辿り着いたあたりからが、この作品の本番。
作品全体のちょうど中盤あたりからです。
その段階では、それぞれの登場人物たちの、思わぬ人間性や関係性が、強烈なバイプレーヤーっぷりと共に演出され始めます。
長編ミステリー
そして何とも表現し難い強い磁場がいくつも現れ始めるんです。
この複数の強烈な磁力が、互いに引き合い、互いに牽制し合いながら、物語は環奈に下される判決に集約されていきます。
ちなみに「ファーストラヴ」は、長編ミステリーに分類されることも多い作品。
息を呑むテーマ展開
判決に至るまで読み進めるほどに、
「一体どんな結末が待ってるの??」
と、迷宮沼にズブズブと頭頂まで浸かり、
「もうダメ!おわた」
と呼吸困難の限界域、
と、そこで少しずつリバース、
ギリで息ができるようになり、
順に五体が開放されていく、
そんな読感を味わえる展開です。
「ファーストラヴ」にハマりそうな人
この小説にハマりそうな人は、
直木賞受賞作品
あえてそんな世界観にエンタメ性を感じられるタイプの人が、この2018直木賞エンターテインメントにハマることでしょう。
社会問題の提起
他方で、社会感受性の高い方なら、もっと洞察的な読み取り方も期待できます。
現実社会には、歪みや不条理に満ちた人生や環境が存在するもの。
そんなところに焦点を当てた読み方をすると、より社会派でインテリ風な受け止め方ができる作品でもあります。
「ファーストラヴ」がハマらないタイプ
オーディブルの作品レビューで、(数少ない)低評価のコメントは以下のような感じです。
※「ラノベ」;ライトノベルの略。ティーンズ対象のファンタジー系の小説。
ミサンドリーな世界観
作中、ところどころで主人公の性体験の描写が出てきます。
その描写が、女性目線に偏っている点がネガティブなコメントを生み出しているのでしょう。
独特な人物名
迦葉君や我聞さんといった登場人物の名前は、確かに「なぜこのネーミング??」と、無意識にも気になりつつ読む人も多そうです。
とはいえ、ありふれた名前よりも、読んでてキャラが頭に入ってきやすいといったメリットも感じられます。
「ファーストラヴ」の読み方(聴き方)
本記事は、Amazonの オーディブルで読んだ(聴いた)作品としてレビューしています。
「ファーストラヴ」を「 オーディブル」で読む場合は以下の通りです。
「ファーストラヴ」と「オーディブル」
- 「ファーストラヴ」の概要
- オーディブルって何?
価格 | 無料(課金なし) |
再生時間 | 9時間43分 |
総合評価 | |
ナレーション評価 |
オーディブルなら二日で読める
再生時間は、1.5倍速くらいがちょうどいい感じ。
オーディブルなら2日あれば読み(聴き)切れます。
オーディブルの作品レビューコメントは、読むとネタバレ材料が多数なので、レビューは事前に読まない方がおすすめです。
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「ファーストラヴ」の舞台裏
その他「ファーストラブ」が話題となっているトピックを紹介しましょう!
ドラマ版「ファーストラヴ」
原作の「ファーストラヴ」は瞬く間に評判となり、NHK BSでドラマ化されました。
現在はNHKオンデマンドで視聴できるか、またはDVDでも流通しています。
真木よう子主演で、上白石萌歌、黒木瞳、平岡祐太、津嘉山正種、吉沢悠、忍成修吾、谷田部俊、駿河太郎、戸塚純貴らが出演しています。
※ちなみに、似たタイトルの作品にNetflixオリジナルの「First Love初恋」とは全く別作品です。
映画版「ファーストラヴ」
映画版のファーストラヴは、随分と話題になりました。
監督は堤幸彦。「20世紀少年」「SPEC」「TRICK」でお馴染みの監督ですね。
北川景子主演、中村倫也、芳根京子、木村佳乃、窪塚洋介、板尾創路らが出演しています。
映画版「ファーストラヴ」は、プライムビデオで課金無しで視聴可能です!
見放題対象作品
関連記事;初めてのプライムビデオの基礎講座
小説家「島本理生」について
島本理生さんの代表作は、まさに今回紹介した「ファーストラヴ」です。
その他のスマッシュヒット「ナラタージュ」も代表作の一つ。
「ナラタージュ」は、「この恋愛小説がすごい! 2006年版」(宝島社)で第1位、「本の雑誌が選ぶ上半期ベスト10」で第1位、2006年本屋大賞で第6位など、実績ある注目作品の一つです。
サンプルあり
ちなみに、島本理生さんの旦那さんは、ミステリー作家のあの佐藤友哉さんです。
以上です!
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