おすすめミステリー【夢幻花(むげんばな)/東野 圭吾】
唐突ですが
唐突ですが、馴染みがあるようですけど、それほど接することってないですよね、「アサガオ」。
唐突すぎますね、「アサガオ」なんて言われて。
小学生の頃に理科の授業で濃く接してから、もしかしたらそれ以来、とりたてて接点を持つことがない方の方が多いかもしれませんね。
ときには、自分が親になったときに、子供の学校の授業でようやく人生2度目の接点を持つ程度でしょうか。
おすすめミステリー【夢幻花/東野 圭吾】のメインテーマ
最後にいつ見たのか思い出せない、
日常にあるようで実は非日常の、
近くて遠い存在、
そんな植物のアサガオがこの「夢幻花」のキーキャストになっているんです。
そして、それがこのミステリーのマジックポイントとなり、謎解き物語の茎となるんです。
そうです、
アサガオが、
です。
その「馴染みある非日常の」キーキャストが、
徐々に徐々に、
数々の章を経て、
この舞台の脇から中央に移動をしつつ、
この物語は進みます。
おすすめミステリー【夢幻花/東野 圭吾】の展開
しかも、そのアサガオの遺伝学的な、もしくは生理学的な科学の要素をバックグランドに、同時に世俗社会の人間模様を色濃く並走させている点が、ただのミステリーのエッセンスだけではない、この作品の完成度をあげる花弁となっています。
東野作品のアタリ作品が大体そうなんですが。
そして展開が激しいことも東野作品の特徴。
それにしてもさすがに警察庁や食品会社、ロックバンドアーティスト、MM事件(ここはネタバレのためイニシャル表記しますね)といった切り口での展開がなされると、いや、展開するといっても、それぞれのドラマがしっかりと哲学を入れて作り込まれているためになおさら、
「いったいこのストーリーはどこに向かうんだい」、
「残りのページ数は3分の1を切っているぞ」、
とヒヤヒヤさせられます。
ところが、気が付けばそれぞれのチャプターが見事なまでに有機的につながり始めてきます。
そしてもちろんアサガオが真打ちとなり、物語の中心に登場し始めた頃には、もう夜中の1時だろうが2時だろうが、お構いなしでページをめくり続けてしまうんです。
おすすめミステリー【夢幻花/東野 圭吾】の醍醐味
と同時に、結末が近づくと、プロローグからエピローグまで、ずっと分裂していた全ての場面が、完璧なまでにロジカルに仕込まれていたことに、思わず「あっ」と声を出して気付くのです。
その時は、そうですね、直下直前のジェットコースターに乗っているときの感覚ですね。
この車体がどこに向かうのかはもうわかっているのに、
いざ落下し始めると、悶絶級の恐怖がメイン、でもどこか保証付きといったような。
そして、ひとたび落下の加速を始めると、身体中の臓器たちがいっせいにスゥーっと持ち上がる感覚、
そして、その刹那を存分に楽しんだ直後に、無事に、さっき遠目で見えていた目的の場所に間違いのない形で確実に着地をする。
結末が見え始めたあたりからの読み手感覚では、そんな一時を味わえます。しかも活字でです。
最後に
ご存知のとおり、作者は理系出身。
そんな彼が、かなりの時間をかけて構想し、
「こんなに考えて作った作品は他にない」、
とまで言う作品。
とにかく全ての事柄がロジカルに、予測不可能な精緻さで解決していくことそのものがマジックのようにさえ感じられます。
上下左右に飛び交っていた複数の謎と、バラバラに思えていた複数の人間模様の全てのベクトルが、最後の最後に3Dの4K級の精緻さで
「ビタッ!」
と整って結末を迎えます。
この読味感、一度体験してみませんか。
少しでも気になった方、読まない理由はありません!
今週末、是非「夢幻花」を!
楽天のミステリー・サスペンスランキングはこちら(デイリーランキング)
[rtoc_mokuji title=”Back to Contents” title_display=”left” heading=”h2″ list_h2_type=”round” list_h3_type=”round” display=”close” frame_design=”frame2″ animation=”fade”]